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マジカル☆スイーツ ナタデKOKO 第一話「魔法少女参上」(Bパート)

「ココナッツ~」
「誰が、ココナッツかっ!?」
1時間目と2時間目の間の10分休み。
『夏』川『孤子』だからと言ってココナッツとか言う、安易なあだ名で私を呼ぶのは親友の尾張奈子(おわり なこ)。
「別にいいじゃないの」
本当にどうでも良さそうに言う親友。
「良くない。その変なあだ名が元で、男子には……男子には……」
……そう、男子には……。
「あ~、ココナッツの皮って呼ばれてるよね~」
「私は、夏川孤子だぁ~!
 ココナッツでも、ココナッツの皮でもねぇ~~!!」
「私も、ココナッツの皮はひどいと思うわよ?
 語呂悪いし……」
「語呂の問題じゃねぇ~~~~!」
私の絶叫が教室内に響き渡るが、誰も特に反応しない。
「ココナッツの絶叫にもみんな慣れてきたよねぇ……。
 まぁ、毎日叫んでれば、当然だけど」
う~~。
私はうるさいのか?
うるさい女なのか?
小うるさい“シュウトメ”なのか?
…………“シュウトメ”ってなんだ?
「ところで、ココナッツ。
 今日も盛大に遅刻したわね」
「うん。今日“は”、遅刻」
「何が、『今日は』よ。
 今週3回目でしょ?」
「まぁね~」
そういう事実もあったかもしれない。
「ところで、ココナッツ……。
 さっきから気になってたんだけど、あんたのかばんから顔出してるぬいぐるみは何?」
奈子が指差す方向には私のかばんからからはみ出した謎のぬいぐるみ。
っていうか、今朝の事故のとき転がってたアレだ。
アレ……なんだけど……。
「それがさぁ……。
 私、今朝車にハネられたんだけどさぁ」
「はいっ!?」
サラリとした重大発言に思わず声が裏返る奈子……ちょっと笑えた。
「まぁ、ちょっとかすったくらいの話なんだけどさぁ。
 流石の私も、ちょっと気が動転したのさ。
 なんか転がってたぬいぐるみを思わずかばんに詰めたらしい」
奈子の頭に?がいくつか浮かぶ。
「……らしいってなに?」
「いや、だから、流石の私も気が動転してたんだってば。
 かばんに入れた覚えは全くないけど、いつの間にか入っていたのさ」
「あ~そう……まぁ、いいけどね」

「きゃ~~~~!!」
誰かの絶叫が学校中に響き渡る。
休み時間でざわついていた教室が一瞬静まり返り、次の瞬間一気に騒然となる。
クラスの半数が、近くの友人に視線を送る。
“何があったの?”
視線はそう語る。
残りの半数は、視線を送られて首を横に振る
“分からない”
「きゃっ」
誰かの小さな悲鳴。
さっきの悲鳴の主じゃない。
今度の声の主はこの教室の中にいた。
一斉にクラス中がそちらを見る。
その子(名前は“園子”)は、窓の外を驚愕の表情で見つめている。
クラス中の視線はその子からその子の視線の先へと視線を移す。
そこには、一人の女子がいた。
向かい側の第二校舎。
その屋上。
ううん、正確にはその女子は屋上の横にぶら下がっていた。
屋上にかろうじて手がかかっているだけ。
なぜ屋上にいたのかは知らないけれど、おそらく今朝からの強風でバランスを崩したのだろう。
そして、そんなことよりも……。
「落ちちゃう」
誰かがつぶやいた。
誰がつぶやいたのかは分からない。
あるいは私自身の呟きだったかもしれない。
そのつぶやきに反応したのか、クラス中のみんなが教室を飛び出す。
向かう先は、第二校舎の屋上か、あるいは、その女子の下か。
ただ、私だけは、なぜか動けなかった。
つられて走り出しても良さそうなものだけど、なぜか……なぜか動けなかった。
「助けたい?」
声が聞こえる。
「答えて。
 ……助けたい?」
聞いたことのない不思議な声。
男なのか、女なのか……子供か、老人か……。
どこから聞こえるのか。
それすらも分からない不思議な声。
「どうなの?」
その声は、急にはっきり聞こえた。
そして、私は振り向く。
「誰も……いない?」
いや、違う!
「助けたくないの?」
その声の主は私の席にいた。
机の上に、ちょこんと座る“彼”……。
「ぬいぐるみ?」
そう、それはぬいぐるみ。
私が今朝拾ってきた……違う……私は拾ってない……勝手に入ってきたんだ。
一人で歩くその姿を見た今なら分かる。
“彼”は自分で私のかばんに……。
「助けたい?」
彼はもう一度聞いた。
そして私は首を縦に振った。

「これを食べて」
ぬいぐるみが差し出した小さな白く半透明な玉。
「これは?」
受け取り問い返す私。
でも……
「きゃ~~~!」
窓の外で悲鳴が上がる。
そちらを見れば、女子生徒が屋上から“片手”でぶら下がっている。
屋上に集まった野次馬達も一段と強くなった突風のために彼女に近づけないでいる。
屋上の中央付近にカタマリ女子達が悲鳴を上げている。
ところで、……なんか、女子多くねぇ?
「時間がない。
 夏川孤子……彼女を助けられるのは君しかいない」
ぬいぐるみが強い調子で言う。
「なんで、私の名前を?」
「時間がないと言っている」
「あ、うん……。
 これを食べればあの子を助けられるの?」
一瞬の沈黙
「……ああ」
私は、それを食べた。
白く半透明のすの玉は、ぐにゃりとした感触を口の中に残す。
妙に歯ごたえがある。
……こ、これは……ナタデココ?
何かが……何かが体の奥底からあふれ出してくる……。
「何……この感じ……」
「それは、魔力だ」
「魔力?」
「ああ、君は魔法少女に……なったんだ」
……ま、魔法少女って……マジっすか。
「さぁ、夏川孤子。
 マジカル☆スイーツ ミラクルチェンジと叫ぶんだ」
……
「絶対、嫌!」
…………沈黙。
そして、沈黙を破ったのは、
「きゃ~~~」
外から再び悲鳴が聞こえる。
一見先ほどの光景と変わっていないように思える。
けれど、遠くからでは分からないだけで、何らかの状況が変わったに違いない。
ホントに時間がない。
し、仕方がない。
人の命には代えられない。
「マ……マジ……マジカル☆スイーツ ミラクルチェ~~~ンジ!」

何も変わらなかった。
魔法少女につき物のコスチュームなんかもない。
ただし……見た目には。
分かる。
力がみなぎる。
魔力が……。
そして知識が溢れる。
ありとあらゆる魔法が分かる。
今魔法に目覚めたばかりの私には仕えないような魔法ばかりだけれど、使える魔法もわずかにある。
「なにか、役に立つ魔法……あの子を助けられる魔法は!」
『フライ』
あった!
「風の精霊よ。力を貸して。フライ!」
基本中の基本。
空を飛ぶ魔法。
最も簡単な魔法の一つであり、今この場で最も役に立つ魔法。
体が浮き上がる。
すぐに窓の外に飛び出すが……。

ゴォォォォォォッ!

風が強すぎる。
当然だけど、空を飛ぶのは生まれて初めてだ。
「コ、コントロールが……」
それでも必死に前に……フラツキながらも、必死で進む。
なんで、魔法少女のくせに、変身とかないんだっ!?
風の影響を受けやすい制服がうらめしい。
でも、それは、あそこで必死に耐える子も同じだ。
早く助けなきゃ!

ザワリ。
誰かが私を見つける。
空を飛ぶ私を見て驚かないはずがない。
全員がぽかんと私を見上げる。
あとでなんと言って説明していいのか分からない。
それでも、今はそんなことを考えている場合じゃない。
早く。
早く助けないと。
あと、10メートル。
なんとなく……なんとなくだけれど、今朝の曲がり角へ走りこむときの事を思い出す。
……5メートル。
3・2・1……。
手が離れる。
私が手をつかむ一瞬前に……。
その女子……この距離なら分かる……去年同じクラスだった子。
友達だった。
……その友達が、目を見開き、私の顔を見ながら、驚いたような……呆然としたような……そんななんとも言えない顔をして落ちていく。
時がゆっくり流れる。
無常にも落ちてゆく友達。
瞬間。
脳裏に“それ”が浮かんだ。
「神秘なる神の御技が生みし聖なる力。今こそ私の手に! マジカル☆スイーツ!」
それは、今の私に使えるような魔法ではないはず。
それでも、使える気がした。
そして……。
指先から出た光が地面に向かう。
そして、そこに“それ”は現れ、落ちて行く彼女を受け止める。
自分の耳が聞こえなくなったのではないかと錯覚するほどの沈黙があたりを支配する。
ようやく誰かが一言つぶやいたのはどれほど時間が経ったあとだっただろうか?
「……ナタデココ?」
つぶやきを漏らした人物は、私が魔法で出したそれをつつきながらそう言った。
そう、ナタデココだ。
そのグニャリとした柔らかさが一人の命を救った。
次の瞬間、辺りは歓声に包まれる。
そして、みんなの視線が私へと集まる。
屋上のみんなには、事情がよく分からなかったかもしれないけど、下にいたみんなには全てを見られた。
なにか、言わなければ。
どう誤魔化す?
って言うか、誤魔化せるのか?
無理だ。
絶対無理だ。
いや、マテ!
そうだ、ここは決め台詞だ!
決め台詞を言って去っていけば何とか!
知り合いにはモロバレだけど、他の学年の人だけでも誤魔化せるかも!
そうだ……決め台詞だ!
「え~と……え~っと」
全てを見てしまったグラウンドのみんなが固唾を飲んで私を見つめる。
「え~~っと。
 マジカル☆スイーツ ナタデKOKO
 プニュっと参上、プニュっと解決ぅ!」
空気が凍りついたのが私には分かった。
……だが、それでも……凍りついた空気の中でも、まじめな表情で私を見上げるみんな。
特に男子!
まさか、私に惚れたかっ!?
魔法少女って言うのは、萌えか?
胸キュンハートど真ん中直撃かっ!?(←意味不明
でも、最初に私に声を掛けたのはかっこいい男子ではなく、女子だった……ケッ。
「ねぇ、そこの人」
恐る恐る私に声を掛けるその女子
「な、なんですか?」
私も恐る恐る返事をする。
「あの、その、言いにくいんですけど」
「な、なんですか?」
「パンツ見えてますよ?」
…………
「ギャァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
私は、やっと屋上に女子が多かった……っていうか、グランドに男子が多かった理由に気がついたのだった。



つづく

次回、マジカル☆スイーツ ナタデKOKO 第二話「悪は倒さず、心を正せ」
ぷにゅっと参上 ぷにゅっと解決
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マジカル☆スイーツ ナタデKOKO 第一話「魔法少女参上」(Aパート)

私の名前は夏川孤子(なつかわ ここ)。
どこにでもいる普通の女子中学生。

……って言うありがちなモノローグから始めれば、私も少しは普通に見えるかな?
まぁ、私が普通の子なのか、ちょっと残念なことになっちゃってる子なのかはこの際どうでもいいとしよう。
なぜなら、今、私はもっと重要なことで悩んでいるからだ。
そう、全ては全国津々浦々、全ての乙女が一度は夢見るに違いないと個人的には信じているアレを実行するために。
そのために、今私の頭はエンジン全開でフル回転中だ。
かつてこれだけ頭を悩ませたことがあっただろうか?
いや、ない!(反語表現

私の全能力を惜しみなくつぎ込んで計算する。
あそこが“アー”で、“コー”で“ソー”だから、“アソコ”を“ソー”して“コー”する……。
“アレ”にかかる所要時間が“コー”だけど、“アー”すれば“コー”なるから…………。
「分かった!あと3分20秒寝れる!」
学校に間に合う時間を10秒単位で算出した自分の頭脳がちょっとまぶしい。

……3分20秒後。

カチリ。
時計の針が午前8時10分40秒をさした瞬間、私はベッドから跳ね起きる。
瞬間、掛け布団と敷布団の間に冷気が流れ込む。
パジャマ1枚じゃあ冷気が身にしみるぜぃって感じだ。
…………あ、そこ、言っとくけどパジャマ一枚って言っても下着はちゃんとつけてるから。
変な想像しないように。

でも、悠長に寒がっている時間はないのだ。
まるで一瞬でパジャマを脱ぎ捨てて制服を着込む。
ここでも、予め時間短縮法を私は考えていたのだ。
冷たい制服を着るのはつらいので、毛布と掛け布団の間に制服を広げておいたのだ。
寝るときも制服1枚分あったかい上に、朝起きる頃にはすっかりあったかくなっているのだ。
しかも、すぐに着ないとあったかさがもったいないので、着替えは超早い!

自分の部屋を飛び出し、階段を駆け下り、冷たい廊下を駆け抜ける。
目指すは台所!
もちろん、朝ごはんを食べる時間なんてない。
もう分かったはず!
そう、アレだ!アレなのだ!!
全国の乙女の夢『パンを咥えて遅刻遅刻ダッシュ(私、命名)』!


予定通り、計算ぴったりのタイムで台所に飛び込み、凍りつく。
「なんで、今日に限って納豆掛けご飯!?」
ど、ど、ど、どうする?
どうしたら?
……いや、考えてる時間はない!
今日は、学校に着くまで10秒単位でスケジュールが決まっているんだった。

瞬間。
私は決意した。

「ひこく、ひこくぅ~(遅刻、遅刻ぅ~)」
右手にかばんを持ち、左手には箸を握り締め、口にはお茶碗を咥えて(どうやって食べたらいいのかはよく分からない)ダッシュする。
左手首にはめた腕時計を確認。
予定より5秒遅れている……まずい、遅刻ギリギリだ…。
いや、元からギリギリを狙ったんだろうとか言うツッコミは禁止で。

口に咥えたお茶碗がなんか間抜けだし、納豆はくさいし……。
しかも、なんか今日はやたらと風が強くて、納豆の糸が鼻の辺りで髪にまとわりつく……最悪だ。
でも、でも、でもでもでも!
たとえ口に咥えてるのが、パンでなくとも!
このシュチュエーションで走って曲がり角に向かえばきっと!
そう、見知らぬかっこいい男子にぶつかり、そんでもって、その男子が今日転校してくるはず!
ふっふっふ。
我ながらなんて言う完璧なプランだ。
風が吹けば桶屋が儲かるのと同じで、遅刻ダッシュをすればかっこいい男子と運命の出会いがある。
私は、なんて常識人なんだ!
すごいぞ、私!!
ってなことを考えてる間に、曲がり角まであと10メートル!
……5メートル。
3・2・1……。

曲がり角に飛び出した瞬間。
全身を衝撃が走りぬける。
生まれてから14年とちょっと……これほどまでの衝撃を受けたことはない。
今、この瞬間が、いろいろな意味で人生を左右する。
………………車にハネられたぁぁぁぁぁぁ!!!
しかも、よりにもよって、ゴミ収集車っ!?
「いたたたたたっ」
とりあえず、人生を左右……っていうより、むしろ生死を分けたこの場面で、一応生きてる……。
人生を左右って、なんかちょっと違くねぇ?
「大丈夫ですか?」
そんな優しげな声がかかる。
私の計画では、かっこよくて、しかも、あとで教室で運命の再開を果たす男子に手を差し伸べられる予定だった。
でも、現実は……ゴミ収集のおじさん……しかも、ヒゲもじゃ……。
さ、最悪だ……。

「大丈夫です」
私はそう答える。
さっきは、すごい衝撃のように思えたが、実際見てみると、右ひじのところがちょっと擦れてはいるものの、たいした怪我はない。
どうやら、ゴミ収集車のミラーのところにちょっと当たっただけらしい。
そうと分かると、おじさんも仕事に戻っていった。
あとには、急ブレーキの衝撃で落ちたらしいなんだかよく分からないタヌキっぽい生き物のぬいぐるみがぽつんと残されていた。
拾ってあげようと立ち上がる瞬間、左手にねっとりとした感触。
一瞬、血だらけの左腕を想像した。
そして、納豆まみれの左腕にショックをうける。
「さ……最悪だ……」


それが、私と“彼”の運命の出会いだと言うことに、私はまだ気づいていなかった。

ショッピング

プロフィール

一神王城

Author:一神王城
怪しい人物。
管理人兼作者。




Assistant:アステル(アスト・エル)

↑似顔絵(一神王城・画)
宇宙をバックにウインク。
にぎやかし担当。


読んでもしょうがないともっぱらの噂のブログ展開中。
コメントる人がえらく少ない。
コメントをつければ管理人がないて喜ぶこと間違いなし(ホントか?






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